七五三のお祝い、おつかれさまでした。
お子さまの晴れ姿を見ながら、家族みんなで写真を撮ったり、お宮参りの後にお食事に行ったり…とても素敵な一日だったことと思います。
その一方で、あとまわしにされがちなのが「着物のお手入れ」です。
「一日だけしか着ていないし、そんなに汚れていないかな」
「また次の子の時にも使うから、大事にしまっておこう」
そう思ってタンスにしまってしまうと、数年後に出してきたときに
「なんだか黄ばんでいる」「シミが浮き出ている」「カビっぽいニオイがする…」
ということが、本当に多いんです。
七五三の着物は“見えない汚れ”がいっぱい
一見きれいに見える着物でも、七五三の日はこんな“見えない汚れ”がつきやすいです。
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お子さまの汗・皮脂
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お化粧(口紅やファンデーション、ヘアワックスなど)
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帯や小物とのこすれによるスレ汚れ
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食事中の油分・ソース・ジュースの飛びはね
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砂ぼこりや排気ガスなどの外気の汚れ
これらは時間がたつほど、生地の中で変色したり、黄ばみやシミとして浮き上がってきます。
特に絹の着物はデリケートなので、汚れが残ったまま何年もしまっておくと、
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黄ばみ・変色
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カビやイヤなニオイ
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生地の弱り・破れ
につながりやすく、「あのときちゃんと出しておけばよかった…」となってしまいます。
「一日だけだから大丈夫」は一番コワい思い込み
クリーニング店でよくあるご相談が、
「前に七五三で一度着ただけなのに、出してみたらシミだらけで…」
というお声です。
七五三のような“特別な日”の着物ほど、「汚さないように」と気をつけて過ごされるので、
その日の夜に見ても、あまり汚れているように見えないかもしれません。
でも、汗や皮脂、お子さまの動きでついた細かい汚れは、
その時点では透明〜ごく薄い状態で“潜っている”ことが多いです。
それが数年かけてゆっくりと酸化し、黄ばみ・シミとなって現れてきます。
一度黄ばんでしまった絹の着物を元通りにするのは、技術的にも費用的にも、どうしても負担が大きくなります。
だからこそ、
「使ったから出さないと!」
というタイミングで、早めにプロのお手入れに出していただくことが、とても大切です。
クリーニングに出すベストタイミングは?
おすすめは、
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七五三が終わってから“1〜2週間以内”
です。
着用後あまり間を置かずにお手入れすることで、
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汗・皮脂が生地に定着する前に落とせる
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うっすらとしたシミやくすみの段階で対処できる
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カビや黄ばみのリスクをグッと下げられる
といったメリットがあります。
「写真データの整理がひと段落したら」
「アルバムを選ぶタイミングで」
といったように、生活の中の“ひと区切り”とセットで、着物のお手入れをしていただくのもおすすめです。
おうちでやってほしいこと・やらない方がいいこと
まずは着用後すぐにできるひと手間
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すぐにハンガーにかけて風を通す
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畳んだまま袋にしまうと、湿気がこもりカビの原因になります。
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直射日光は避け、陰干しで半日〜1日ほど。
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目立つ汚れがないかざっとチェック
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衿まわり、袖口、裾、帯まわりは特に汚れやすい場所です。
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「なんとなくテカっている」「うっすらくすんでいる」程度でも、プロに見せる価値ありです。
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帯・長襦袢・小物も一緒に確認
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帯揚げや帯締め、足袋なども、汚れや黄ばみが出やすいアイテムです。
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逆に、やらない方がいいこと
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自己流で洗剤をつけてこする
→ 色落ち・生地傷み・輪ジミの原因になります。 -
アイロンを高温でじかに当てる
→ テカリや変色、生地の縮みにつながることがあります。 -
消臭スプレーをたくさんかけるだけで終わらせる
→ ニオイをごまかしているだけで、汚れ自体は残ったままです。
「ちょっと気になるところだけ自分で…」は、
かえってクリーニング時の難易度を上げてしまうことが多いので、
心配な部分はそのままの状態でプロにお任せいただく方が安心です。
「上の子・下の子、兄弟で着まわしたい」を叶えるために
七五三の着物は、お子さまの成長をつなぐ“バトン”のような存在でもあります。
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お兄ちゃん・お姉ちゃんが着た着物を、下の子にも着せたい
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いとこ同士で受け継いでいきたい
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将来「この着物はね…」と、写真を見ながら思い出話をしたい
そんな願いを叶えるためにも、「使った後のお手入れ」はとても大事なステップです。
きちんとクリーニングと保管をしておけば、
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生地のハリやツヤを長く保てる
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シミやカビの発生を防ぎ、安心して次の世代へ渡せる
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“思い出”そのものの価値を守ることができる
着物は“着るとき”以上に、“しまう前”のひと手間が、未来の状態を大きく左右します。
まとめ:七五三が終わったら「写真整理+着物クリーニング」をセットに
七五三は、一生に一度の大切な節目。
そのときに着た着物は、写真だけでなく、実物としてもきれいに残しておきたいものです。
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「一日だけだから大丈夫」ではなく、「一日着たからこそ、早めに出す」
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見えない汗・皮脂・化粧・食べこぼしが、数年後の黄ばみ・シミにつながる
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1〜2週間以内のクリーニングが、いちばん負担が少なく、着物を長持ちさせる近道
七五三が終わった今が、着物を“守るための最後のチャンス”と言ってもいいくらい、大切なタイミングです。
ぜひ、写真データの整理やアルバムづくりと一緒に、
「七五三の着物をクリーニングに出す」ことも、生活の予定に入れてみてください。
「使ったからこそ、すぐに出す。」
そのひと手間が、数年後の「良かった」にきっとつながります。